『剣遊記[』 第一章 女格闘士、御来店。 (10) この慌ただしいふたり(清美と三枝子)が、先に出ていったあとだった。おまけで最後にこっそり、孝治は到津にささやいた。涼子も聞き耳を立てているが、黙っているという約束を守っているので、こちらはお咎めなしとした。
「なんやったらフェニックスば見つけたとき、なんかメッセージでもあったら伝えといてあげるっちゃけど、なんか言うことなかね?」
「そ、そうあるねぇ……☺☹」
到津は椅子に座ったまま、しばし両腕を組んでから、孝治に答えた。
「彼女、今ても元気してたら、それていいだわね★ 他に望みは無いあるよ☺」
「男の純情ちゃねぇ〜〜☻」
本心では大笑いをしたいところ。そこを孝治は、ぐっと堪えてやった。
涼子は無論、遠慮なしの大笑いであった。 (C)2013 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |