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『剣遊記[』

第一章  女格闘士、御来店。

     (10)

 この慌ただしいふたり(清美と三枝子)が、先に出ていったあとだった。おまけで最後にこっそり、孝治は到津にささやいた。涼子も聞き耳を立てているが、黙っているという約束を守っているので、こちらはお咎めなしとした。

 

「なんやったらフェニックスば見つけたとき、なんかメッセージでもあったら伝えといてあげるっちゃけど、なんか言うことなかね?」

 

「そ、そうあるねぇ……☺☹」

 

 到津は椅子に座ったまま、しばし両腕を組んでから、孝治に答えた。

 

「彼女、今ても元気してたら、それていいだわね★ 他に望みは無いあるよ☺」

 

「男の純情ちゃねぇ〜〜☻」

 

 本心では大笑いをしたいところ。そこを孝治は、ぐっと堪えてやった。

 

 涼子は無論、遠慮なしの大笑いであった。


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