『剣遊記閑話休題編T』 第四章 玄海の波は穏やか。 (4) 「うぎゃああああああああああああああああああああああっ!」
「よっしゃ! 今ばい!」
「きゃん!」
この隙に孝治は登志子の右手をガシッと両手でつかみ取り、射羅窯から強引一気に引き離した。
「桂ちゃん! 登志子ちゃんば頼むばい!」
「う、うん!」
すぐに登志子を桂に託し、孝治は今も全裸のまま、再び射羅窯に立ち向かおうとした。愛用の剣を持たない素手の状態だが、パンチかキックかを、二発か三発でもお見舞いしてやるために。
「うわっち!」
ところが正座が続き、両足の痺れが、まだ残っている状態でもあったのだ。孝治は走り出したとたん、この場にてフラフラとよろめいた。
しかも、そのままバタン。この事態は、今や観客となった友美と涼子。さらには桂と登志子までも、呆れさせる有様となった。
『あちゃ〜〜、肝心なとこでやおないんやけねぇ〜〜☠』
涼子の嘆きを孝治と友美しか聞いていないという話の設定が、ここではむしろ幸いだった。この一方で射羅窯は、いまだに朋子から顔面にしがみつかれていた。それをようやく振り落としたとき、彼の顔は猫の爪で傷だらけの様相。振り落とされた朋子のほうは、キャット空中三回転で見事、床に無事着地を果たしていた。
それから射羅窯は見た。自分に向かって飛んでくる孝治の、あられもなさ過ぎな全裸特攻の肉弾飛行を(これ以上のくわしい描写は過激なので、どうかご容赦ください。たとえ活字だけであっても、表現をはばかられるので)。
早い話が真っ裸のまま、なぜか空中を飛んで射羅窯に突入(表現してるじゃん☠)。
「うわっちいいいいいいいいいいっ! どげんなったとやぁーーっ!!!」
ドカチン☆と朋子に続いて、再び衝突! この衝撃でなぜか孝治は、裸で射羅窯の首を両足の太ももではさむと言う、超とんでもない有様となってしまった。 (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |