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『剣遊記閑話休題編T』

第四章 玄海の波は穏やか。

     (15)

 ところで話は脇道にそれるけど、孝治は相変わらずのスクール水着風のワンピース姿(こればっか)。友美も黄色のビキニを着用したまま。涼子はこれを、なんだかうらやましがっている感じでいた。

 

『あ〜あ、あたしも早よ生まれ変わって、水着のひとつも着たいもんちゃねぇ☺☺』

 

「あっ、そうだ☆ 涼子、ちょっと海の家んとこまで行ってくれんね?」

 

 幽霊のため息(?)に気づいたのかどうか。友美がふと顔を上げ、涼子に頼みごと。

 

 すぐに涼子は、友美に応えた。水着の件は、それほど深刻には思っていなかったようだ。

 

『ええけど……なんかあると?』

 

「みんながバーベキューばどんくらい食べよんのか、ちょっと見てきてほしかっちゃよ☚ お願い☆」

 

 このとき、両手を合わせて頼み込む友美のお腹がキュルルルゥゥゥ……っと、けっこう大きめの虫が鳴った。

 

「あら、やだ☻☟」

 

 友美の顔が、パッと紅潮化した。涼子がその様子を見てくすっとしながら、ここは気前良く、浜辺へと飛んでいった。

 

『ええっちゃよ♡ 友美ちゃんもバーベキューば楽しみにしとんやねぇ♡』

 

 一方でその虫は、孝治の耳にも伝わっていた。

 

「ぷっ☺ 友美は体ばちんまいくせに、腹ん虫だけはいっちょ前っちゃねぇ♡」

 

「もう! 孝治ったら、からかわんといて♨」

 

 ところが友美を茶化す孝治自身のお腹も、グルルルゥゥゥゥゥゥと、人様のことは言えない大きな虫を鳴かせる始末。こうなると、ふたりの思考は一致した。

 

「……おれたちも食べに行こっか……涼子がまだ帰ってきとらんけど☆」

 

「そげんしましょ☆」

 

 そんなふたり(孝治と友美)の元へ、浜辺の様子を即行で偵察してきた涼子が、早くも猛スピードで戻ってきた。

 

『大変ちゃ! 早く行かんと、バーベキューば全部食べられてしまうっちゃよ!』

 

「うわっち! そりゃまずかばい!」

 

「登志子たちの食欲って、半端ないっちゃよ☠」


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