『剣遊記 超現代編U』 第二章 性転換娘のいる日常。 (5) 話は学校に戻る。
きょうの四時限目の授業は体育だった――と、これだけならば学生生活における、ごくふつうの教科である。
だが今回からは、超特別編とも言えた。なぜなら次の体育は孝治が復学してから、初の校内で着替え――が行なわれるのだ。
これを『特別編』と言わずして、いったいなんだと表現すれば良いものやら。
「孝治も体育するのか?」
「当たり前だろ!」
おれの疑問に、孝治は少々立腹気味となった。構わずにおれは質問を続けた。
「でも、着替えなんかはどこでやるんだ?」
この疑問の持ち主は、絶対におれひとりだけではないはずだ。なぜなら我が校には、女子専用の更衣室が無いのだ。しかしそこのところは、孝治自身もわかっていた。ちなみにこのときおれの背中では、何人かが聞き耳を立てている様子もしていた。
「保健室にカーテンで仕切られる仮眠室があるから、そこで着替えなさいって帆柱先生から言われた⛑ だからこれから着替えは全部、そこでやるから⛐」
「あ、そう……♋」
おれはそれ以上、なにも言えなかった。こいつ、自分の今の立場(周囲が🐺オオカミだらけ)が、本当にわかっているのだろうか? とにかく孝治の学生生活は他人であるおれが心配になるほど、まさに前途多難の繰り返しだ。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |