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『剣遊記 超現代編U』

第二章 性転換娘のいる日常。

     (5)

 話は学校に戻る。

 

 きょうの四時限目の授業は体育だった――と、これだけならば学生生活における、ごくふつうの教科である。

 

 だが今回からは、超特別編とも言えた。なぜなら次の体育は孝治が復学してから、初の校内で着替え――が行なわれるのだ。

 

 これを『特別編』と言わずして、いったいなんだと表現すれば良いものやら。

 

「孝治も体育するのか?」

 

「当たり前だろ!」

 

 おれの疑問に、孝治は少々立腹気味となった。構わずにおれは質問を続けた。

 

「でも、着替えなんかはどこでやるんだ?」

 

 この疑問の持ち主は、絶対におれひとりだけではないはずだ。なぜなら我が校には、女子専用の更衣室が無いのだ。しかしそこのところは、孝治自身もわかっていた。ちなみにこのときおれの背中では、何人かが聞き耳を立てている様子もしていた。

 

「保健室にカーテンで仕切られる仮眠室があるから、そこで着替えなさいって帆柱先生から言われた だからこれから着替えは全部、そこでやるから

 

「あ、そう……♋」

 

 おれはそれ以上、なにも言えなかった。こいつ、自分の今の立場(周囲が🐺オオカミだらけ)が、本当にわかっているのだろうか? とにかく孝治の学生生活は他人であるおれが心配になるほど、まさに前途多難の繰り返しだ。


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