『剣遊記 超現代編U』 第二章 性転換娘のいる日常。 (12) ここからは、おまけの話。
なんだかんだといろいろなことが起きているが、それでも毎日の授業は、無事(?)に過ぎ去っていった。それからまたある日のこと。おれは孝治から、家に来るよう誘われた。
男子が女子の家に行く。なんと驚くべきシチュエーション。これも孝治の天然と能天気がなせる業{わざ}なのであろうか。
とにかくある日、孝治がおれに言ったのだ。
「秀正に見せたいものがあるんだけど、ちょっとぼくん家{ち}に来てみない?☺」
「あ、ああ……いいよ☕ どうせ暇だし⛵」
この世のありとあらゆる『予定』というものとは無縁なおれは、とにかく孝治からの誘いに、簡単に乗ってやった。実際、孝治の家を訪問したことは、初めて会って友達になって以来、けっこう繰り返してきているお付き合いだった。
これまで特に、問題があったわけでもなし。ただ孝治が女性化をしてからきょうが初めての、友達のお宅訪問となるわけだ。
正直な話、女性化した孝治の家庭が、いったいどのように変化をしているのか。これはこれで、大いに興味を抱かせる話の展開だ。
まさか――とは思うが、もしかして『おれに見せたいもの☺』って孝治のやつ、身はおろか心の底まで完全に女性化してしまい、おれを部屋に入れるなり、『ぼくを見て♡』とか言って、着ている服を脱ぎだしたりはしないだろうなぁ☠
現実に今は下校中で、おれはふつうの学生服。孝治は香蘭の女子用制服を着ている状態であるし。
とかなんとかよけいなことをおれが考えているうちに、早くも孝治の家の前に着いてしまったりする。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |