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『剣遊記14』

第四章 謎の怪竜出現……いやいやもう大決戦!

     (8)

 この間にもティラノダコラの猛攻は続いていた。

 

「きゃあっ! エッチぃ!」

 

 モンスターの触手が今度は、友美が着ている黒衣をバッとまくり上げたのだ。

 

 この場の誰もが知っているとおり、今の友美は真っ裸の上から、裕志より借用の黒衣を一枚まとっているだけの格好。女性として最大の危機である。

 

「うわっち! ヤバかっ!」

 

 孝治は間髪を入れず、友美の黒衣にさらに襲いかかろうとしていた次の触手を、構えていた中型剣で、バシッと払いのけてやった。

 

「孝治っ! ありがとっ☆」

 

 友美からは感謝の言葉を贈られたが、同時に荒生田は血の涙を流していた。

 

「孝治ぃ……バッジョブばい……♋」

 

 孝治は荒生田を、ここでも真正面からの飛び蹴りでぶっ飛ばしてやった。

 

「ったくぅ! なして自分ば、そげん尊敬させてくれんとねぇ!」

 

 先輩としてのカッコ良さをなかなか見せてくれない荒生田に対する、偽らざる孝治の本心であった。

 

『孝治っ! 危なかっ!』

 

「タコ足が来よるっちゃ!」

 

 そこへ同時に、涼子と友美の声が重複した。

 

「うわっち! しまったぁ!」

 

 荒生田に気を取られていた孝治は、あっと言う間に触手によって、グルグル巻きの憂き目となった。先ほどは白い下着姿の裕志が狙われたのだが、今や色など関係なしなのだろうか。


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