『剣遊記14』 第四章 謎の怪竜出現……いやいやもう大決戦! (5) その触手の前に突然現われ、剣でガシッとかわしてくれた者がいた。
「孝治っ、ばっきゃろぉーーっ! 剣でタコ足ば斬ったらどげんやぁーーっ!」
「うわっち! 先ぱぁーーい!」
なんと荒生田が孝治の前に躍り出て、ティラノダコラの左触手の先端を、見事にスパッと剣で斬り落としてくれたのだ。
「先輩、カッチョよかぁ〜〜っ♡」
孝治はなんだか本当の意味で、荒生田に惚れ惚れの気持ちとなった。
「そうけそうけ♡ それが孝治の本心なんやねぇ☻」
「前言撤回しますっちゃ☠♨」
荒生田は素早く孝治のうしろへと回り、右手でお尻を撫で撫でしていた。
「一瞬でも尊敬ばしたおれが馬鹿やったとばぁーーい!」
「あひぇーーっ!」
孝治の右足大蹴りを、またもや見事顔面にドカンと喰らい、荒生田が池田湖の対岸までビューンと飛んでいった(ウソ)。
「ったく、見直したっち思うたとたん、次のシーンじゃいつもの本性ば剥き出しにするんやけねぇ♨」
『それがまた、荒生田先輩らしいっちゅうたら、らしいんとちゃう?』
今も発光球スタイルを貫いている(?)涼子が、空中から愚痴つぶやき中である孝治をからかってくれた。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |