『剣遊記15』 第三章 無人島、バカンス三昧! (18) 「それっちなんか……聞き捨てならんセリフっちゃねぇ☂」
胸から込み上がる漠然とした不安感を、なんとかノドの奥で押しとどめつつ、孝治は千秋に訊いてみた。
「もしかして美奈子さん、実は涼子んこつ知っとんのとちゃうやろっか?☠ あの人ときどき、信じられんほどの勘の冴えがあるっちゃけねぇ☢」
「それはさすがにあらへん、って千秋も思うんやけどなぁ☃」
などと頭を左右にブルンブルンと振ってはくれても、やはり千秋のセリフは、心配増幅ものだった。
「たぶん……なんやけど、師匠も身近に幽霊はんがおるやなんて、ちぃとも気づいとらへん、って千秋も思うわ⛐ でも気ぃつけや⚠ 師匠はプロの魔術師やさかい、どないな霊感持っとんのか、この一番弟子の千秋でも、ようわからんさかいになぁ♠」
「わかった♐ 気ぃつけるっちゃよ☢」
孝治はゴクリとツバを飲んだ。これで総計何リットル分になるであろうか。ところがこんな孝治とは全然真逆で、当の幽霊である涼子のほうは、話を見事簡単に受け流している様子っぷり。
『とにかく、きょうからあたしんことば認識してくれる人が増えたんやけ、こっちんほうがすっごくうれしかばぁい☀☆ こん調子でいったら今に未来亭のみんなかて、あたしんことばわかってくれる日も近いっちゃね☺♡♡』
「それっち、口で言うほど簡単な道のりやなか、っち思うっちゃよ⛔」
友美も一応、釘を刺したりするのだが、これにも一向に構わない感じ。涼子が砂浜から宙へと舞い上がり、孝治たちの頭上で、華麗なダンスを勝手に始めたりする。
「ほな、話は着いたようやし、師匠んところに戻りまっか✈」
「いったいなんの話が着いたとやろっか?」
孝治の心配と疑問は尽きないのだが、そんなことにはお構いなし。千秋がトラの手綱を右手で取って牽き始めた。もちろんロバまでが秘密を知ったわけではないだろうけど、孝治は密かな警戒心を、胸に抱かずにはいられなかった。
「まさか……っち思うとやけど、もしかしてこんトラのやつまで、なんか特別製っち言わんやろうねぇ♋ いくらロバとユニコーンの合いの子やっちゅうてもやね☢ ほんなこつおれん周りは、なかなか安心させてくれん連中ばっかしばい☠」 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |