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『剣遊記15』

第三章 無人島、バカンス三昧!

     (17)

『とにかく、これから仲ようしていきましょ、千秋ちゃん♡ ほんなこつよろしゅう、っちゅうもんばいね

 

 半透明の姿ながら、涼子が右手を千秋の前に差し出した。

 

「ほな、こっちもよろしゅう頼んまっせ☻」

 

 涼子に応えて、千秋も右手を差し出した。これでお互い、手と手を握り合っているつもりであろう。けれど、端から見ても千秋の握手は、空気をつかむような感覚が否めないようでいた。

 

「なんやな、幽霊はんと握手するやなんて、千秋も生まれて初めてやわぁ っちゅうても、なんの感触もあらへんけどな

 

「それはおれもわかるっちゃよ♐」

 

 実際、涼子との接触体験であれば、孝治のほうこそ、いくらか先輩であろう。そもそも接触自体が、まったく絶無であるのだが。

 

「これで涼子の秘密ば知っとうと、千秋ちゃんで三人目になるっちゃね☀ ところでこんこつ、できればまだ、みんなには内緒にしてほしいとやけど、頼んでもええね?」

 

 一応の紹介が終わったところで、今度は友美が千秋に頭を下げた。

 

「これはわたしたちの取り越し苦労かもしれんとやけど、やっぱ幽霊がいっしょにおるっちゅうたら、未来亭におるみんなのほうが大騒ぎになるかもしれんけぇ☢ やけん、できれば美奈子さんと秋恵ちゃんと千夏ちゃんにも、まだ黙っといてほしいとやけど、いいね?」

 

「なんや、そないなことかいな☻」

 

 友美から頭を下げられた千秋のほうは、特に深刻に考えている素振りすらなし。自分の胸(ぺったんこ)を、右手で軽くポンと叩いた。

 

「要するにや 今までどおり、ネーちゃんらがやりよったとおり、誰にも言わんかったらええんやろ☀ そんなん、簡単なことやないか♡✄

 

「その簡単過ぎる返事が、なんか一抹の不安ば感じさせてくれるっちゃねぇ

 

 そんな孝治のつぶやきは、やはり無視。千秋がさらに、自信たっぷりの感じで言ってくれた。

 

「まあ、千秋かて、ネーちゃんと友美ねえちゃんの周りがなんかおかしいの、前から薄々変とは思うとったんや♐ それが幽霊はんやったとは、さすがにそこまで千秋も見抜けんかったけど、真相がわかれば、もうええわ☆ 千夏と秋恵ねえちゃんには今までどおりにしとったら、なんもバレることあらへんやろ 問題は師匠やで☠

 

「うわっち!」

 

 孝治は心臓を、ドキリと高鳴らせた。この事態も、ある程度は予測していたのだが。


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