『剣遊記14』 第五章 湖の秘密と後片付けはキチンとね。 (20) 時間が多少かかったものの、なんとか池田湖に到着。そこでメンバーが見ている前だった。ティラノダコラの姿が静かに、池田湖の湖面へと消えていった。これでもう野心満々な連中がチョッカイをかけない限り、湖と海底を自由に往復しながら、ティラノダコラはおとなしく暮らしていくことだろう。
「もう帰ったぁ……♋」
すべての騒動が終結したころになって、ティラノダコラを見送る孝治たちのうしろから、裕志が恐る恐るで声をかけてきた。ついでに首が外れたままの徹哉も横にいた。ふたりともいまだに情けない下着姿である状態なのは、もう誰もコメントをしなかった(徹哉のデュラハン状態も同じ)。
孝治は裕志に応えてやった。自分自身、もはや開き直りであるトップレス姿をあからさまにしたままで(指宿市から池田湖まで、このまま!)。
「もう幽霊も怪獣も池田湖の底やけね☛ これでみんな平和に暮らし続けられたら、よかなんやけどねぇ☻」
「あ、そう……♋」
裕志はそれでもまだ心配の顔になって、孝治たちの所まで近寄ってきた。そのとたん鼻血噴出の展開は、もう何回でも起こる恒例の定番なのだ。
「そのぉ……孝治はいつまでそん格好でおるつもりけ?」
裕志の鼻血声で、孝治の開き直りもさらに頂点へと達していた。
「早よ服ば見つけんといけんのはわかっとんやけどねぇ……それこそわかっちゃいるけどやめられないっちゃね♪♫♬」
「そんとぉーーりぃーーっ!」
「うわっち!」
話が終わったところになって、荒生田がやっぱり現われた。こいつ今までなにしてた? (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |