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『剣遊記14』

第五章 湖の秘密と後片付けはキチンとね。

     (19)

「ほな、頼んましたで♐」

 

 話はどうやら、二島が決めてくれた。

 

 大怪獣(?)ティラノダコラは幽霊カップルに導かれ、元の池田湖に帰るしだいとなった。

 

 なお幽霊が生物を誘導する方法とは、いわゆる憑依によって精神を操り、思いどおりに動かす得意技である。

 

 グガアァァァァァァ…………

 

 幽霊が取り憑いている理由で、今は先ほど以上におとなしい状態。そんなティラノダコラが去り際、チラリと孝治たちのほうに振り返った。

 

「なんか……ありがとう、っち言いようみたい でも、ティラノダコラだけやなかみたい、あの幽霊カップルも、わたしたちに『ありがとう』ば言うたっちゃよ

 

 友美が感慨深そうに、孝治に向けてささやいた。

 

「うん、おれもそう思うっちゃ

 

 孝治も友美に同意した。

 

「あのふたり、湖で静かに成仏ばしとったんやけど、ティラノダコラが乱入したんで、しばらく平穏な日々から遠ざかっとったんやねぇ でもこれでモンスターもおとなしゅうなって、元の静けさが戻ったんで安心しよんちゃね それから最後別れ際に、これからもこん湖の精霊ば務めて、池田湖の平和ば守るっち、言いよったばい

 

「それはそれで、けっこうなお話でんなぁ ほな今回の騒動は、これにて幕引きってとこでんな 帰ったらこの話、私が新作の伝承歌にさせてもらいますわ

 

「いい話ができて、二島さんもご機嫌っちゃねぇ♪」

 

 そのように吟遊詩人を持ち上げる孝治自身も、なんだかご機嫌うるわしくの気分でいた。これに二島が、文字どおりのご機嫌顔で応えてくれた。

 

「私もまさか、街の噂で聞いた昔の心中カップルと、こないして『ごたぁいめぇ〜〜ん♡』することができはるやなんて、思いもしまへんでしたわ☀ これも日本中旅して周れば、けったい以上な体験ができはる言うことでんなぁ☆ これはもうひとつ、エルフの長い寿命にも、感謝感激雨あられ言うもんでっしゃろなぁ☕☺


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