『剣遊記14』 第五章 湖の秘密と後片付けはキチンとね。 (12) しかしまだまだ、問題児は残っていた。
「まあまあ、みんなここらで落ち着くっちゃ☻」
この間ジッと、傍観者の立場に逃げていた荒生田が、勝手に頃合いを見計らったようだ。今も騒ぎ続けている孝治たちの前に、偉そうな態度でのこのこと歩み出てきた。
「先輩っ! なんのんびりしたことば言いよっとですか!」
しかし孝治はまだまだ、憤懣が収まっていなかった。きついつもりの目線で先輩をにらみ、今にも噛みついてやろうかというほどの鼻息を振り撒いてやった。
「先輩! 全部知っとったとでしょうが! やけん妙に日明さんと仲ようしっちょったんですねぇ☹♨」
これに荒生田は、悪びれもせずに言ってくれた。
「まあやね☻ 初めはオレかて、大怪獣の出現に燃えたもんやけど、日明博士から裏でほんとの話ば聞いて、一応剣ば収めることにしたっちゃね⛑」
「それやったらこっちにも早よう、真実ば言うてくださいっちゃよ⚠」
孝治のヒートアップは、ますます加速化された。この状態に油を注ぐかのごとくだった。荒生田がトドメの一撃をほざいてくれた。
「まあ、よかっちゃよ☺ 孝治もオレのために脱いでくれたことやし、このティラノダコラが実はおとなしいっちゅうことがわかった以上、あとは芸でも仕込んでしこたま儲けてやるだけたい☻♥」
「先輩、腹が黒過ぎっちゃあーーっ!」
今回、もう何度目になるであろうか。もはや十八番{おはこ}である孝治の飛び蹴りが、コリゴリを知らない荒生田の顔面にボッカァーーンと炸裂した。
これを書いているほうとしても、ほんとにコリゴリである。 (C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |