前のページへ     トップに戻る     次のページへ


『剣遊記14』

第五章 湖の秘密と後片付けはキチンとね。

     (11)

「はあ?」

 

 再び孝治を始め、一同の目が点――いやいやもはや、開いた口がふさがらなくなっていた。つまり孝治でも、ようやく話の理解ができたってこと。

 

「す、するとぉ……初めて日明さんと会{お}うたとき……なんか捜しモンばしに来たっちゅうの、このティラノダコラのことなんねぇ☛ あんたが魔術で創ったキマイラっちゅうことやね♋」

 

 これに日明が、頭を横に振った。

 

「なんか勘違いしておるんじゃにゃあかね、孝治クンとやら うわたくしは魔術なんぞの非科学的要素には、かずする(名古屋弁で『数える』)ほども興味はにゃあがねぇ とにかくこのティラノダコラくんは、うわたくしの大科学の合成バイオテクノロジーの大傑作なんだぎゃあ☀☆

 

「ばいおなんとかっち言うたかて、そげなん知るけぇーーっ!」

 

 孝治はひと際高く吠えるなり、ハリセンを右手に持って、日明に襲いかかった。

 

「っちゅうことはぁ、今までのモンスター騒ぎの原因は全部、あんたの忘れモンが原因やったっちゅうことばいねぇ!♨ おかげでおれは、今回も赤っ恥の日々やったんばい☢」

 

「わたしにも叩かせて! 裸になったの孝治だけやなかっちゃけ♨ わたしもなんばい♐」

 

「はい、どうぞ☻」

 

 今回は友美も、日明叩きに参戦。孝治からハリセンを受け取って、やはり日明をバンバンとしばきまくった。

 

「ぼくもシャツとパンツだけになったっちゃけ!♨」

 

 こうなると、裕志も流れに乗ってきた。やはり交代でハリセンを受け取り、バンバン攻撃を続行した。

 

「こ、こらぁーーっ! IQ870の超天才頭を障害するんじゃにゃあぎゃあ! うわたくしにもしもの災難あれば、この日本国、いやいや全地球がおうじょうこくことになるんだぎゃあねぇ!」

 

 日明の訳のわからない妄言など、もう誰も聞いてはいなかった。ただ二島だけが、大人の余裕。苦笑を顔に浮かべていた。

 

「やれやれ、蓋を開けてみれば、なんとやらのけったいな結末やったと言うお話でんなぁ 日明はん、こればっかしは殺生な話と言うもんでっせ


前のページへ     トップに戻る     次のページへ


(C)2016 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system