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『剣遊記 番外編X』

第三章 巨大怪獣、神戸港に出現!

     (2)

 そんな大惨事の現場を直接――それも大怪獣の右肩に座って、愉快そうに笑いながら眺めている者がいた。

 

「ふぉっふぉっふぉっふぉっ☻☻☻」

 

 裕志を誘拐して、彼の人格を新造キマイラ――今や超獣バルキムに移植した悪の魔術師――尾田岩であった。

 

「ふぉっふぉっふぉっ☻ あんな馬の骨みたいなヘッポコ魔術師なんぞの人格を、我れのキマイラに移植したんが、そもそもの大間違いやったんやぁ♨ そやけど我れには先立って創造をしとった、新造キマイラ第一号の『ガストロキング』もおったんやでぇ! そやさかい、赤の他人のくだらん人格なんぞ、ハナッから入っとらへん純粋な攻撃型兵器である、ガストロキングがなぁ! 我れにはドラゴンも自由に操れる術かて、とっくに完成されとったんやぁ✌ この我れの魔術で動きはるガストロキングこそ、地球最大の大怪獣なりぃ! これで今度こそ我れの復讐を成就させるためにも、その手始めにまずは、西の都からボッコボコのギッタギタにしたるんやぁ✄!」

 

 昔からの悪者の定番として、とにかくズ太い生命力の持ち主という必然事項がある。彼――尾田岩も、一時は崩壊した古城の下敷きとなって、哀れ無念の最期を遂げたのかと(筆者も含めて)思われていた。ところがどっこい、こんなこともあろうかと(例えばデ○ラー砲などの攻撃に備えて?)、緊急避難用の強固な個室を、自分の研究所である古城の地下に用意していたのだ。

 

 まさにこれこそ、悪いやつほど備えは万全――の典型であろう。


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