『剣遊記 番外編X』 第三章 巨大怪獣、神戸港に出現! (11) 「ったくもう! 要らん世話ばっか焼かせてからにぃ♨」
おのれの失敗を上げる棚であれば、無尽蔵の無限大。荒生田が自分勝手極まる悪態をつきまくった。
大怪獣――ガストロキング(荒生田たちは、まだ名前を知らない。同時に怪獣の肩に乗っている尾田岩の存在にも、まだ気づいていない)の眼を盗み、地上に着地した四人組。再び空へと飛び立つつもりなので、到津はドラゴン姿のまま(とにかく図体がデカい!)。だから事は、早めに終わらせないといけなかった。
バルキムを地上に呼び出すための行動を。
「おいっ! 済んだとね☜」
「は、はい!」
荒生田から急がされている格好の裕志は、現在市内に敷設されている地下水道の地上側浄水場にて、バルキムを相手に地上への出動を要請中(?)でいた。
時間が無いので経過と方法については省くが、とにかく荒生田たちは、地底で潜伏していたバルキムとのコンタクトに、なんとか成功したわけ。
このあとのドタバタも省くが(手抜き)、これにてバルキムの地上への登場が、早くも可能となったわけ。
「は、はい……連絡が済みました! バルキムがもうすぐ地底から出てきますです!」
さすがにこれも同人格なだけあって、意思の疎通は迅速だったのだ。
「なるほどやねぇ☻」
荒生田も現在、排水溝の前に立っていた。そこで静かに耳を傾けると確かに、水道の奥に広がる闇間から、大きな地鳴りが響いていた。
「ゆおーーっしぃ! 全員こっから退避じゃあーーっ!」 (C)2015 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |