『剣遊記V』 第六章 これにて一件落着。 (5) 石蓋が開いたままとなっている地下出口から、ひょっこりと一匹の白い三毛猫が顔を出した。
今さら説明するまでもなく、涼子が憑依をしている猫(朋子)である。
(なんねここって、未来亭の中庭やない♐ まさか未来亭が泥棒とグルってわけやなかでしょうけどねぇ……♠)
孝治たちのあとを追い、ようやく出口に到着した涼子であった。しかし地下道が未来亭まで通じていたとは、さすがに思いもよらなかった。
とにかく出口から中庭に身を出してから、涼子はふと気がついた。
女子寮の方向が、なにやら妙に騒がしい。
(あそこに犯人が逃げたっちゃね☀ これって大変なことやない!)
すぐに直感で判断。涼子は猫の駆け足で、現場へと急いだ。
ここでひとつ。実は涼子は、当初の目的(自分の絵探し)を、ケロッと忘れていたりする。
だけどしょせんは、好奇心が優先する性格。
まさにこれこそ、涼子の生まれつき――さらに死んでからも持ち続けている(?)天性なのだ。 (C)2011 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |