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『剣遊記 超現代編U』

第一章  工業高校、激震走る!

     (6)

 二番目の被害者(?)は、やはり同じB組の砂津岳純{すなつ たけずみ}ってやつ。おれはこのとき孝治と雑談をしながら、この先に起こる展開をなにも知らないで、二階の廊下をふつうに歩いていた。

 

 なんだかんだと言っても、事故で休学をしていたクラスメートの復帰なのだ。話題はいろいろと尽きることがなかった。また本音を言えば、元が男とわかっていても、こんなに可愛い女の子である。おれの鼻はたぶん、少々高くなっていたに違いない。

 

 なんと言っても、一応美少女(?)であるJKと連れ立っているわけだから――って言うか、孝治も孝治だよなぁ☻ 今やすっかり、香蘭女子高の制服が、完全に身に馴染んでやがるし。

 

 このために、おれは油断をしていた。

 

 廊下の曲がり角で孝治は、こちらからは見えない向こう側から走ってきていた岳純のやつと、もろに正面衝突してしまったのだ。

 

「うわっち!」

 

「ぎゃぼっ!」

 

 ぶつかり合った孝治と岳純は、そのまま勢い余った格好で、そろって廊下の上に転倒した。

 

 孝治のほうが上側となって。しかもうつ伏せ。

 

 結果、岳純は下敷きになりながらも、孝治のDカップである豊乳の谷間に、見事自分の顔を両側からはさまれたわけ。

 

 正男と同じパターンである断末魔が現場に轟いた。

 

「むぎゅうううううううっ!!」

 

 最大級Dカップの谷間に鼻と口を抑えられては、正常な呼吸など、できようはずがない。それでも岳純は幸福だったに違いない。もしかしてこのまま本当に窒息死してしまったとしても、思い残すことは、恐らくなにも無いだろう。

 

 のちに彼{このやろう}は語っていた。

 

「す、すっげえ脂肪の塊{かたまり}だったぜ♡ あれが元は男だっただなんて、真相を知ってもおれは絶対に信じねえからな✄

 

 勝手にせい♨


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