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『剣遊記 超現代編U』

第一章  工業高校、激震走る!

     (7)

 第三の犠牲者兼幸せ者は、やはり同じB組の牧山裕志{まきやま ひろし}。こいつはわざとなのか、それとも本当に不可抗力の事故だったのか。今度は階段で足をすべらせて、ちょうど下を通りかかった孝治と、これまた見事にガチ合う結果となったらしい。

 

 それも孝治は、またもや尻餅。裕志は前のめりに倒れる格好。必然的に裕志の顔面鼻先が、孝治の(ミニ)スカートの股間に突っ込んだ(なぜか香蘭女子高のスカートは、丈{たけ}が変に短い☹)という。

 

「あ、あわわわわわわ……うわっち!」

 

 自分のスカートの中に顔を突っ込まれて、今まで鷹揚にトラブルを流していた孝治も、さすがにパニックとなったようだ。

 

「えっちぃーーっ!」

 

 本っっ当に女らしくパッチーーンと、右手で裕志の左のほっぺたに、強烈な平手打ちをブチかましてしまった――と、あとで話を聞いたおれは、そのとき背中に戦慄が走った。

 

「痛ってええええ……☂」

 

 裕志がこれまた見事な涙目となったらしい。だがこの平手打ちも、実はラッキースケベトラブルにおける、男の願望(マゾとも言う)のひとつなのだ。事実、孝治を恨む気持ちなどさらさら無いと、あとで裕志がおれに言ってくれた。

 

「孝治の白いパンティーがさぁ、おれの目の前にガバァッと広がってさぁ、なんだかいい匂いまでしちゃったよ♡」

 

 それを聞いたおれも、裕志に右のパンチをお見舞いしてやった。それにしても孝治のやつ、もうしっかりと女性物の下着まで着てやがるとは。これは恐るべき順応力と適応力としか、他に言いようがないか。


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