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『剣遊記13』

第二章 記憶の底の訪問者。

     (6)

 さて、話は一気に進んで、あれから一週間後、見合いを明後日に迎えた朝の出来事である。

 

「除霊のお仕事どすかぁ?」

 

 美奈子の元に、近隣の町からの依頼が入ってきた。

 

 メンバーは緊急で召集された。

 

 黒崎の説明によれば、毎晩屋敷がポルターガイスト{騒霊現象}で迷惑をしているので、すみやかになんとかしてほしい――とのことらしい。

 

「で、今回の仕事におれたちも、護衛っちゅうことでついてくわけっちゃね☃」

 

 話の成り行き上当然ながら、孝治たちも美奈子に同行と決まった。つまりメンバーは、除霊担当の魔術師が美奈子。弟子の千秋と千夏も同伴。でもって護衛が孝治と友美と秋恵の三人組。やっぱり涼子も、おまけで付いていた。

 

 理由は現在、未来亭に残っている戦士が孝治だけだからである。さらに友美は魔術師だが、まあ孝治とは切っても切り離せないコンビでもあるわけだし。また秋恵は本来盗賊志望なのだが、これも話の流れ。この際経験を積み重ねるためのお付き合いってものだろう。

 

「で、除霊するとこって、いったいどこなんやろっか? おれも友美も、店長からとにかく護衛を頼むがや、ってしか言われちょらんけねぇ〜〜

 

 などと道を進むのと同時、愚痴をこぼしてばかりである孝治の瞳の前だった。北九州市の郊外にそびえ建つ、一軒の洋館が見えてきた。

 

 依頼の場所は、未来亭から、それほど遠くはなかったわけ。

 

 説明するまでもなく、この章の主な舞台である。


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