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『剣遊記13』

第二章 記憶の底の訪問者。

     (13)

「そ、それでは……今まで屋敷で起こっていたポルターガイストは、いったいなんやったんでしょうか?」

 

 当然の疑問を、当主の若戸が美奈子に尋ねた。

 

 これにも美奈子は、明解な解答をきちんと用意していた。

 

「それはまあ、この幽霊のお嬢はんが時々寝ぼけはって、自分でもよう知らへんうちに霊力が漏れただけでおまんのや☛☻ このかいらしいお嬢はんも、これから気ぃつける言うてます☎」

 

「そ、そうやったんですかぁ……☁」

 

  若戸は小さくうなずいたが、その表情は明らかに、納得の範疇からは外れていた。そんな若戸の顔など、まるで我関せず。美奈子は淡々と言葉を続けた。

 

 「このお嬢はん、もしこの絵をこれからも後生大事にしてくれはる言うんやったら、この家を守る守護霊になってもええ、そう言うてまんのやで☀ これはうちが言うのもなんどすが、ええ話やと思いますさかいに☆」

 

 「そ、そうですねぇ……ポルターガイストの変な癖さえ治してもらえるとやったらぁ……☁」

 

  若戸は顔色を少々青めにしながらも、美奈子に向けてコクリとうなずき返した。多少の疑問(?)は、もうヤメにしたようだ。

 

 「おれ、美奈子さんば改めて見直したっちゃよ☆」

 

  若戸と対照的になる気はないが、孝治は孝治で、美奈子の手腕に感心した。

 

 「今回、初めて見るかもしれんちゃけど、なんかすっごう平和的に霊の事件ば解決してもうたったいねぇ……なんかおれたち、今回護衛役でここまで来た意味が、いっちょもわからんごつあるっちゃよ☻」

 

  友美もまた、孝治と同意見だった。

 

 「わたしも孝治に同感ばい☝ わたしもなして自分がここにおるんかわからんようなったっちゃけど、それよか美奈子さんって、ほんなこつ優しいっちゃねぇ〜〜♡♡」

 

  これら周りの賞賛の中、美奈子本人のみ、至って冷静な態度を貫いていた。

 

 「では、今回は除霊ではおまへんかったんどすが、これにて仕事を終了させてもらいますさかいに♣ 報酬のほうは、未来亭に早めに振り込んでおいてくださいまし

 

  確かに美奈子の言葉どおり(冷静過ぎな感じもあるけど)、依頼された仕事は完了したのだ。今回の話はこれにて終了――と、実際に言って良いのかも。

 

  しかし、いくらなんでもこれでは、今回のストーリーが、あまりにもおもしろくなさ過ぎ。若戸が応接室から出ようとしている美奈子を、うしろから呼び止めた。

 

 「ちょっと待ってください、天籟寺美奈子さん 僕の話は、まだ終わってませんけ


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