前のページへ     トップに戻る     次のページへ


『剣遊記 番外編Y』

第四章 君は薔薇薔薇、ボクはバラバラ……ていう感じ。

     (24)

「わかっとうばい✌ 徹哉くんはマミーばやっつけてくれたんやけ、もうこの辺で休んどき✊ こいつらわたしと秋恵ちゃんで、なんとかするとやけ♐」

 

 律子ははっきりと言い切って、腕にかかえていたネクタイ青年の生首(?)を、ポイッと地面に放り投げた(これもひどい話や😭)。

 

「チョット痛インダナ。てれまかしーナンダナ」

 

 この苦情も無視。とにかく律子は、後輩――秋恵に向かって、気合いの入った大きな雄叫びを上げた。

 

「秋恵ちゃん、行くばい! こげんなったらふたりで変身して戦うとよ!」

 

「ええっ! あたしまだ裸んまんまばってぇ〜〜ん♋」

 

 先ほどまでの能天気もどこへやら。さすがにためらいを見せる秋恵であった。だけどそのような些細な支障など(?)、この際こちらも全然お構いなし。

 

「よかとぉ! わたしかて変身したら真っ裸なんやけ、四の五の言うとらんで、またさっきみたいな玉になるとばい!」

 

「は、はぁ〜〜い☁☠」

 

 先輩からの恫喝半分――いや全部の叱咤で、新人盗賊の秋恵も覚悟を決めたようだ。一枚だけ着ていた上着を、バッと思いっきりに脱ぎ捨てた。

 

「おーーっ♡ 絶景ばぁーーい♡☀」

 

 ヤローどもの好色の目の前で。

 

 それからそのまま体を前に一回転。再度ピンクのボールへと変形した。

 

「て、てめえら! 仲間ん首ばほったらかしにしてからにぃ! 亜人間{デミ・ヒューマン}でも、もっと大事にせんねぇ!」

 

 秋恵の変身は、先ほどからすでに拝見済み。それよりも徹哉の頭をもろ乱暴に扱う律子のやり方には、さすがの杭巣派も驚きを隠せないようでいた。

 

 ちなみにこいつらも無意識の内ではあろうけど、徹哉を亜人間の一種だと思ってくれているようだ。これに律子は、戦意もやる気も旺盛。猛々しくやり返してやった。

 

「よかと! 徹哉くんはバラバラになったかて、絶対死なん亜人間なんやけ✌ それよかあんたらの相手は、わたしと秋恵ちゃんだけで充分なんばい!」

 

 そんな風で叫ぶ律子の背中から、何十本もの緑色をした長いモノが、シュルルルルルルルゥーーッと、爆発的勢いで飛び出した。


前のページへ     トップに戻る     次のページへ


(C)2015 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved.

 

inserted by FC2 system