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『剣遊記 番外編Y』

第四章 君は薔薇薔薇、ボクはバラバラ……ていう感じ。

     (11)

「で、でもぉ……やっぱしいじくそ恥ずかしかですよぉ☂」

 

 体のかたちを変えるとは言え、やっぱり裸は裸。ニッチもサチも行かなくなった顔で、秋恵は半分泣きべそ状態となった。そんな秋恵を、今度は先ほどとは対照的。なんと庇うかのようにして、なぜか徹哉がわざとらしいぐらいの凛々しい姿で、ふたり(秋恵と律子)の前にしゃしゃり出たのであった。

 

 これを好意的に解釈すれば、マミーの脅威から、ふたりのか弱い乙女(?)を守るかのようにして。

 

「マアマア秋恵サン、泣カナイデクダサイナンダナ、ズビズバァパパパヤァ。コノヨウナ事態ニナッタノモ、ボクガ正シイ予測ヲオコタッタ結果ナンダカラ、ボクガココデ責任ヲ取リマショウナンダナ」

 

「えっ?」

 

「徹哉くん……さっきから思いようとばってん、自分で自分がなん言いようか、わかっとうと?」

 

 これには秋恵も律子も、そろって瞳を点にするしかなかった。だけど、この浮いたセリフをほざいた本人――徹哉は、至って大真面目そのもの。

 

「ハイ、コウ見エマシテモ、ボクノ頭脳回路ハふぇみにすとトシテモ設定サレテイルンダナ。デモ、タトエソウデナクテモ、れでぃーふぁーすとトハ全人類ノ半分ヲ占メル男性諸君ノ本能及ビ責務デモアルワケナンダカラ、ココデボクガアナタタチヲ最後マデ守ラナクテハイケナインダナ。ボクガヤラネバ誰ガヤル、ナンダナ。ココハゼヒトモ、ヤラセテチョーダイ!」

 

「徹哉くん……またまたまた繰り返すとばってん、あんたほんなこつ自分で自分がなん言いようか、わかっとうと? ほんなこつさっきから、意味ばいっちょんわからん単語ばっか並べとうみたいなんやけどぉ……♋」

 

 もはや読解力の限界を超え、律子は頭の中がチンプンカンプンの心持ち。しかしいくら文句を言ったところで、徹哉はまったくの無反応。それどころか眼前まで迫っているマミーに向かって、こいつなりに気合い(?)を入れたらしいハッタリをかますだけでいた。

 

「サア、コノボクト戦ウンダナ、ソレカラドシタ。カ弱イ女ノ子ヲイジメル悪イヤツハ断ジテ許セナインダナ」

 

「さっきとおんなじこと言いようばってん、どげん聞いたかて、セリフに迫力がいっちょもなかたいねぇ〜〜☠」

 

 律子はふぁ〜〜っと、深いため息を洩らした。


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