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『剣遊記 超現代編U』

第四章 史上最大級の危機襲来!

     (9)

「うわっち! 冷たっ!」

 

 幸い湯あたりは軽いほうだった。孝治はすぐに、意識を取り戻してくれた。それと同時に、自分の今の状況にも気がついたりする。

 

「うわっち! 見んなぁーーっ!」

 

 タイルの上で上半身を起き上がらせた孝治は慌てて、自分の胸と下の部分をそれぞれ、右手と左手で再び覆い隠した。

 

 しゃべり方も少し、男に戻ったようである。でもすぐに、自分が女であることを再自覚した。

 

「秀正のエッチぃ!♨」

 

「それが命の恩人に言う言葉かぁ!」

 

 孝治がおれを、まるで痴漢を見るような瞳でにらんでくれた。まあそれも、一応は納得の範囲内だ。事情が事情なだけに。ここでおれも、かたちだけの反論をさせてもらったけど、その分の恩賞は、充分に受けたような気もしていた。

 

 『その分の恩賞』とは――もう説明の必要もないだろう。むしろこれは、ある意味『役得』とでも言うべきものであろうか。

 

 さらに蛇足で言えば、裸を見られて恥ずかしがる女の子が物凄く可愛く見えることも、おれは改めて発見した。

 

 さらにさらについでで言えば、今夜の出来事は、一生涯誰にも口にはしないようにしよう。もち孝治にも。


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