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『剣遊記 超現代編U』

第四章 史上最大級の危機襲来!

     (7)

「おいっ! しっかりせい!」

 

 反応が無いのは承知のうえ。おれは力が抜けきっている孝治の両脇に背中から手を入れ、大急ぎで湯船の中からタイルの上まで引きずり上げた。

 

「わわわっ!」

 

 おれはここで大ドジを踏んだ。つまりタイルですべって転んだわけ。

 

「わぷっ!」

 

 このときなんでこうなるのか? 孝治の両脇に背中から手を入れ、うしろ向きに引っ張っていたおれのほうが、なぜか下敷きの格好になったりする。

 

 おれが背中からタイルの上に倒れるような格好で。しかも『泣きっツラに蜂』とは、まさにこのこと。孝治は孝治で、なぜか背面からうつ伏せの格好に逆転して、仰向けで倒れているおれの上から、ドサァッと覆いかぶさってきやがった。

 

 体に一糸もまとっていない、もろトップレスの生まれたまんまのあられもない姿で。いや、厳密に言えば、生まれたときとは大きく変化をしているのだが。

 

「うっぷうーーっ!」

 

 とにかくおれの真上から、孝治の見事なDカップの豊乳が、ドババァーーと圧し掛かってきたもんだから、これはたまったものではない(しかも生{なま}!!)。おれは破壊力有り過ぎな脂肪の塊に鼻も口も完全にふさがれ、究極的呼吸困難に陥った。


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