『剣遊記 超現代編U』 第四章 史上最大級の危機襲来! (5) 「おう、秀正、もう入ってたのかよぉ☆」
最大最悪級の危険人物――よりにもよって和志の野郎が、一番に入ってきやがった。定番の格好――腰にタオルを巻いたスタイルで。
「ま、まあな……♋」
おれは早速で苦笑いを浮かべてやった。しかも風呂に入りながらもこの男、そのままサングラス😎をかけているとは。荒生田家には、そんな家訓でもあるのだろうか?
「そう言えば、今そっちからでっかい水の音がしたんだけど、おまえなんかあったんか?」
「おう、そうそう、いったいなにがあったんだ?」
予想の範疇内ではあるが、和志やあとから入ってきた和秀たちにもやっぱり、孝治がお湯に飛び込むときの、派手な音が聞こえていたようだ。おれはとにかく、言い訳に努めた。
「いや……今のはおれがお湯に飛び込んだ音♋ 誰もいないもんだから、つい羽目を外しちゃってさぁ☻」
「ガキじゃあるめえし、先生に知れたら怒られるとこだぜ✊」
永二郎がやんわりと注意してくれた。幸い他の面々もそれ以上は突っ込まないで、おのおの入浴を始めていた。
これでほっとひと息吐くおれに、またも和志が話しかけてきた。
「ん? 秀正、おまえどうして、柱の横ばかりに入ってんだ? その場所が気に入ったんか?」
おまけに鋭くてよけいな勘まで発揮させやがって。
「い、いや……そんなわけでもねえけど……☠☢」
おれは苦笑いでごまかした。現在おれのうしろでは、孝治が息を潜めて、この嵐が過ぎるのをジッと待ち続けていることだろう。だが果たしていつまで、この難行苦行が続くのだろうか。
「和志ぃ〜〜っ、みんなで並んで背中の流しっこやろうぜぇ☻☺」
ここで救援の神が参上と言うべきか、一番体格のデカい進一が、浴場真ん中にある島カランの前から声をかけてきた。
「おお、今行く⛴」
単純な思考の持ち主である和志が、すぐにそちらのほうへと足を向けてくれた。今さら描写の繰り返しもうざいのだが、入ってきた男衆全員、腰にタオルを巻いた姿でいる。早い話がヤローどもが裸のお付き合い。目の保養――どころか毒にしかならないのだが、こうして男たちの裸での戯れ合いが、今しばらく続く話の流れとなったわけ。
はっきり言って、史上最大級につまらない入浴シーンである。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |