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『剣遊記 超現代編U』

第四章 史上最大級の危機襲来!

     (1)

 夏休みに入った――とは言っても、なぜかよけいなお世話的な学校行事が、どこの高校でもあるものだ。

 

 我ら港南工業高校の二年生は全員、団体で近くにある青少年研修センターでの合宿授業に参加させられた←ここ重要。

 

 これは夏休み期間中恒例の行事で、センターまでの団体行動を実施するものらしい。ただしおれたち生徒は皆、その教育目的がいったいなんなのか、全然わからず終いになっていた(いつから始まったかなども含めて、実は先生たちもよく知らないらしいし☠)。

 

 なにしろ行ってやることといったらけっきょく、センターまで徒歩で行進。飯食って風呂入って寝て一泊。次の日には学校に帰るだけなので。

 

 あとついでに、つまらない講習もあるらしい。

 

 当然であるが、孝治も参加。おれたち男子生徒がスポーツジャージ(紺色)に着替えているのに合わせて、こちらは唯一、女性用の赤いジャージを着こなしていた。もちろん香蘭からの支給品だという。

 

 さらに背中には、着替え(下着など)その他が入ったリュックサックを、これまた全員が背負っている。孝治もだ。

 

 でもってセンターに到着すれば、先ほども申した、聞きたくもない講話の連続。心身ともに疲れ果てたおれ(秀正)は、宿泊部屋の窓辺にもたれかかり、早くも入浴の時間を待ち遠しにしていた。

 

 このときおれは、あるつまらないことを思い出し、そのまま尋ねてみた。孝治に。

 

「孝治は女湯に入るんだよなぁ☻」

 

「当ったり前じゃん もう、その心構えはできてるよ

 

 同じ部屋にいる孝治は、あっさりと答えてくれた。おれもそれ自体は納得。コクリとうなずいた。

 

「まあ、そうだよなぁ

 

 それにしても、周りはヤローばかりだというのに、まったく気にもしていないこの能天気というか楽天ぶり♋ 一回、孝治の頭の中を解剖して見てみたいもんだ✄

 

 そもそも大問題なのは、周りにいるヤローどもである。

 

「ぬわにぃーーっ! 孝治はついに、女性化の特権を利用するつもりかぁーーっ! 女の体を利用して女湯に入る☠ このうらやましいっ!♨

 

 和志が吠えた。他の面々たちも、一斉におれと孝治に注目した。

 

 確かにおれも、いつかはこの日が来るのだろう――とは思っていた。でもってその日が、きょう来ただけなのだ。ただし、孝治が残念がるかどうかまでは知らないが、この研修センターできょう宿泊を行なっている学校は、当校だけ。つまり孝治は、ひとりっきりでの女湯を堪能しなければならないわけだ。

 

 これもこれで、一種の『ザマーミロ✌』ではあるが、もっとも孝治も、その辺のことはわかっていた。

 

「じゃあぼく、先に入ってくる✈」

 

 孝治が立ち上がって、入浴道具を持って部屋から出た。ひとりきりの貸し切りなので、さっさと風呂を済ませておきたいところだろうか。

 

「おい! 孝治が風呂に入るぞ!」

 

 早速裕志たちが色めき立つが、そいつらは全員、巨漢の進一の怪力によって、畳に抑えつけられてしまった。和志もそのひとりだった。

 

 その難を免れたおれは、やはりポツリとささやいた。

 

「なんか……無事に終わらんような気がするんだよねぇ……☁」


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