『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (20) 「そ、そうですわね⛽」
とにかく打ちひしがれている姿勢から、桃園沙織があっさりと立ち上がった。なんだかおれが考えてるほどには、彼女の衝撃はそれほど大きくないようでもあった。それから立ち上がるついでか、彼女が右手を前に差し出して、なんと孝治に握手を求めてきた。
「孝治さん、きょうのところはわたしが負けを認めてさしあげますわ♐⚠ でもウカウカしてはいけませんことよ☠ わたしは必ずあなたの前に、リベンジの戦士として再登場いたしますわ☢☻ おーーっほっほっほっ☻☻☻」
「うわっち……は、はい……☁」
孝治はなにがなんだか、全然わからない感じの顔をしていた。おれもそうだ。
それから桃園沙織は、再び甲高い高笑いを始め、おれたちの前から立ち去ろうとした。登場から退場まで、とうとう超マイクロビキニ姿のままで。
「おーーっほほほっ!☻ この香蘭女子高のプリンセスである桃園沙織でございますが、試練の道も、なかなかのイバラの道でございますわ☻♪ しかしわたしは、必ず復活してみせて御覧にいれますので、その日をお楽しみにしていてくださいませ☞⚽✌」
そのほとんど全裸に近いうしろ姿を眺めながら(せっかくかけてもらったコートを、彼女は早くも脱ぎ捨てていた)、和志がポツリとつぶやいた。
「う〜む、まさに宿命のライバルの名にふさわしい潔さよ✎ 孝治、おまえも彼女を見習うことが山ほどあるぞ✊⛹」
孝治がつぶやいた。
「ぼく……ああいうのを見本にしないといけないの?」
「おれもそう思う⛐⛅」
おれは孝治に同意した。しかしおれと孝治以外の全員、なぜか和志に同意していた。
「よっしゃあーーっ! 孝治こそおれたちの最高のマドンナだぜぇーーっ!」
裕志が無責任な歓声を上げると、その他の2年B組の面々全員、それに乗じて大きな歓声を上げまくった。
「これでいいのかなぁ……?」
もはや、ただ呆然とするしかないであろう孝治のうしろから、友美ちゃんと涼子ちゃんが、こっそり声をかけていた。
「お姉ちゃん、いよいよアイドル路線まっしぐらってとこね☻✌ いいわ、わたしと涼子でお姉ちゃんを、バッチリいい女にしてあげるから♪♬☻」
「うん☆ じゃあきょうも帰ったらすぐ、三人でいっしょにお風呂に入ろうね☺♡」
さらに蛇足ながら、光一郎のやつまでがしゃしゃり出た。
「その話、初めに言うたとおり、わいも一枚かませてもらいまっせ、孝治はん☻」
「ふえ〜〜☠☢」
このときの孝治の笑顔は、思いっきりに苦笑混じりのものとなっていた。この光景をおれはただ、(多少エロ気味だが)『頑張れよ☻』の気持ちで見守ってやることにした。光一郎だけ別にして。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |