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『剣遊記閑話休題編U』

第四章 ヴァンパイア娘、危機一髪!

     (10)

 念願(?)であった祐一の血は、なんだかしょっぱい味がした。

 

 などと物騒極まる感慨を胸に抱きながら、彩乃は黒川温泉から北九州市までの直線距離を一気。ひと晩のうちに、強行飛行をしてのけた。

 

(もしかして店長……全部お見通しやったけ危険ち思うちょうて、今回の出張にわたしば選んだとやろっかぁ……自慢やなかけどわたしって、不死身やもんねぇ〜〜♡)

 

 まさしく本心の本心では、不死身がけっこう自慢。それは置いて、確かにあの黒崎店長であれば、水晶亭に関するなんらかの情報を、事前につかんで先手に出る策も考えられるところ。だからこそ初めの段階で、『注意を怠らないようにするだがや』などと、わざわざ忠告をしてくれたのかも。

 

 そげん言うても、そん役目ばヴァンパイアに振るっちゅうのも、ちょっと強引やかなろっか? 危険手当んこともいっちょん言うてなかったけぇ――そんな考えをしながらでの空の旅で、帰り着いた時刻は、明朝一番。未来亭開店直前と重なった。


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