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『剣遊記]』

第四章 炸裂! カモシカ拳!

     (5)

 山賊集団が通算十三回目の襲撃をかけてきたときだった。孝治たちは白旗を揚げた。

 

 この事態は酒代で雇われた悪人どもにとって、あまりにも拍子抜けな話の展開であったろう。

 

 まあ、それでも彼らは物事が楽に終わりさえすれば、それに越した話ではない。

 

 もともと敵の意図の裏読みなど、考えたこともない頭の持ち主ばかりであるので。

 

「見ろやぁーーっ♡ おいらたちに恐れを為して、こやつら降参しにょーるでぇ♡」

 

 山賊どもは本気で能天気に喜びながら、意気揚々と孝治たち一行を縄でキッチリと縛り上げた。

 

 こんな風で単純な連中であるからこそだろう。孝治たち一行の人数がひとり足りないことなど、彼らはまるで気にも留めなかったのだ。


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