『剣遊記]』 第四章 炸裂! カモシカ拳! (5) 山賊集団が通算十三回目の襲撃をかけてきたときだった。孝治たちは白旗を揚げた。
この事態は酒代で雇われた悪人どもにとって、あまりにも拍子抜けな話の展開であったろう。
まあ、それでも彼らは物事が楽に終わりさえすれば、それに越した話ではない。
もともと敵の意図の裏読みなど、考えたこともない頭の持ち主ばかりであるので。
「見ろやぁーーっ♡ おいらたちに恐れを為して、こやつら降参しにょーるでぇ♡」
山賊どもは本気で能天気に喜びながら、意気揚々と孝治たち一行を縄でキッチリと縛り上げた。
こんな風で単純な連中であるからこそだろう。孝治たち一行の人数がひとり足りないことなど、彼らはまるで気にも留めなかったのだ。 (C)2014 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |