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『剣遊記15』

第二章 開運! 美奈子の大当たり☆

     (7)

 同じ場面の繰り返しだが、美奈子一行は、九州への帰路をやり直した。

 

 その道中だった。美奈子は少し気になって、チケットと同時に受け取っていたクルージングの注意書きに瞳を通してみた。

 

「出発は……きょうより一週間先にうちらに合わせて、北九州の小倉港にその帆船が自動運航で来るそうやで ほんま、なにからなにまで自動やなんて、どこのどないな魔術師はんが術をかけたかは知りまへんのやけど、大した高度な魔術でおますなぁ✊✋ ついでに参加人数は六人までOKやってなっておます なんやえろう中途半端な人数やけど、うちと千秋と千夏と秋恵はんで四人やさかい、あとのおふたりは未来亭に帰って、そこで希望者を集めたらええやろうなぁ

 

「そうばいねぇ、美奈子先生 船の旅は多いほうが楽しいもんやけぇ、もっと大人数ば期待しちょったとですけどねぇ

 

 秋恵もすでに、気分はノリノリでいた。その勢いもあってか、急に突飛極まる提案を言い出した。

 

「美奈子先生、このまんまでテクテク歩いて帰ったら一週間に間に合わんかもしれんばってん、あたしが皆さんば、すぐに帰れるようにするけんねぇ✌」

 

「するって……どないしまんのや?」

 

 美奈子が頭の上で、三個ほどの『?』マークを旋回させた。千秋と千夏も同様。とにかくそんな三人(美奈子、千秋、千夏)が見ている前だった。秋恵はなんと、着ている服(冒険用の軽装鎧)を、パッパパッパと脱ぎだした。ちなみにここは、野外である。

 

 しかし三人に、驚きの色は薄かった。それよりも千秋が、一番でピン💡ときた感じ。

 

「なんや、秋恵ネーちゃん、また千秋らのために乗り物になってくれるんやな♪」

 

「そうばい✌」

 

 秋恵が右ウインク😉で返事を戻した。現在時刻は、早くも夕暮れ近く。おまけに周辺には美奈子たち一行しかいない状況も、強気の理由であろう。秋恵はあっと言う間に真っ裸となって、美奈子たちの前で体を丸める体勢となった。

 

 いわゆる体操座りの格好である。美奈子たちの旅のお伴となって以来、秋恵の性格には先生――美奈子の大胆性が、見事に伝授されているようだ。それも意識的にそうなったわけではなく、知らず知らずのうちに裸を見られる抵抗感が薄れていったのかもしれない。誰もいない山奥を踏破中に綺麗な泉でも見つければ、ためらわずに四人そろってオールヌードとなり、水浴を存分に楽しんだりもしていたので。

 

 また、もともと初めて未来亭に来たときから、孝治たちの前で、けっこうヌードを公開していた前例にも事欠かないし。


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