『剣遊記15』 第二章 開運! 美奈子の大当たり☆ (19) 「うわっち! おれも水着ば着るとねぇ♋」
「そうっちゃよ☺」
とりあえず、初めての航海に出てからだった。船内での部屋割りは、美奈子と千秋と千夏と秋恵の四人で、一番大きくて広めの部屋。孝治と友美とおまけで涼子には、二番目に広い部屋と決まった。
この件について孝治には、特に不満その他はなかった。室内の無駄に豪華絢爛な内装も、気にしなければ良いだけの話であるからして。それよりも問題は、その次に発生した。なぜか今回の船旅の主催者(?)である美奈子からの提案で、全員水着を着用――となったのだ。これに友美はむしろ、ノリノリの気分に、どうやらなっていた。
「今度の冒険行きが決まったとき、わたしと涼子で孝治にピッタリの水着ば、ショップで選んできたと✌ せっかくやけ、着てみてん⛽」
「おれはこのまんま、美奈子さんたちの護衛のつもりやったとやけどねぇ⛑」
などとためらう素振りを見せながらも、その実孝治は、友美と涼子がいったいどのような水着を買ってきたのか、大いに興味を感じていた。
今さら繰り返して述べるまでもないが――特にこの物語シリーズを読まれている方には説明不要かもしれないが、孝治は元が男だけど、今は立派な(?)な女性の戦士。いわゆるアマゾンである。そのためふだんの冒険着は軽装の鎧姿をしているが、実を言うと本心ではちょっぴり、本格的な女性の服装にも関心を抱き始めている最中であったのだ。
だから友美から女性用水着を勧められる話の展開となっても、孝治はもはや、大きな抵抗感を感じていなかった。
『孝治って、こんなとき以外でもけっこう、女ん子の格好ば、ようするようになっとうけねぇ☻ やけんとっくに、拒否の感情も薄れとったんとちゃうね?』
この涼子のひと言が決定打となった。
「わかったっちゃよ☹ 着ればよかろうも♨ 確かに言われたとおり、もう女ん子の格好に、そげん抵抗する気はなかっちゃけ♐☢」
孝治は航海期間中の覚悟を決めた。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |