『剣遊記超現代編T』 第四章 美女(?)漫画家のいちばん長い日。 (4) 「それもそうっちゃね☻☠」
すでにスタンバイ完了である治花は、和布刈の迷言に、苦笑気味で応えてやった。つまり元孝治たち四人はとっくの昔、全員見事なビキニを着用済み。孝江が青一色の単色系。でもって孝乃はピンク一色。治花は白一色。治代は紫色と、まさに色彩は無地ばかり――となっていた。
なんだかそれこそ地味な感じの色気に乏しいビキニばかりなのだが、これはどうやら、カメラマンである、中原の要望らしかった。これらは全部湘南に来てから配られた水着であるが、要するに、派手な彩色は一切無用――と言う信念だかららしい。
はっきりと申して、さっぱりわからない。
その中原が言う。
「着ている物は小道具に過ぎん✊ 一番大事なのは、人間そのものの美なのだ✌」
これはこれで、ずいぶんとご立派な思想であったりして。
ちなみに今になっての季節設定であるが、ご都合主義で夏だったりする。
「これって……あたしたちが初めっから女やったとしても、もう少し模様にこだわりたい色柄やねぇ☢」
青ビキニの孝江がつぶやいた。
「そんとおりやけど、でも、ここまで来たら、もう後の祭りっちゃねぇ☂」
紫の治代も、同感とあきらめ気分でうなずいた。
「実際、あたしたちの周りにひとりも、今回の水着撮影に猛反対っちゅう人はおらんかったんやけ、話が来た時点であたしたち、内堀も外堀も、とっくに埋められとったようなもんやね⚠ こげんなったらヌードにされん分、ありがたかぁ〜〜っち思うっちゃよ♐」
これにまたうんうんと、孝江と孝乃と治花がそろってのうなずきを入れた。
「では、そろそろ撮影始めよっかぁーーっ!」
撮影現場である湘南海岸の砂浜に、中原の大きな声が轟いた。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |