『剣遊記超現代編T』 第四章 美女(?)漫画家のいちばん長い日。 (18) 本日の撮影も、どうにか無事に終了。一行はそれぞれ指定されている宿泊部屋へ戻った。
「あ〜〜、疲れたぁ〜〜⛑」
部屋に入るなり、孝乃が真っ先に、畳の上でうつ伏せとなった。
「ヌードになるんがこげん疲れるやなんち、あたしたち誰からも聞いてなかっちゃけね⛔」
自分たちで承諾したとは言え、後の祭り的な思いでいる治花も、尻を畳にのせ、壁に背をつけてもたれかかっていた。蛇足ではあるが、もちろん全員着衣済み。
「ほんと、ごめんなさいね☺ うちの出版社の仕事とは言え、漫画家先生にヌードをさせるなんて、前代未聞はわかってたんですけどねぇ☻」
「あたしもこげな話、今さらなんやけど初耳っちゃね☻☻」
友美と涼子がそんな疲労状態にいる元孝治たち四人ひとりひとりに、コップに入った冷水を配って回ってくれた。実はあのあとも続いた撮影であったが、まさに超強行スケジュールそのまま。元孝治たち四人全員、一般人シャットアウトである室内撮影とはいえ、一日中の全裸を事実上強制させられたのだ。
今が夏の季節である以外、『幸い』の要素がまったく見当たらないほどに。
「お姉ちゃんたち、すぐ風呂に入る?」
「いや、まだいい……☁」
孝乃が畳の上で寝転がったままで答えた。
自分は高見の見物の身分であるが、涼子もさすがに、元兄だった姉たちを、心底から心配していた。だけどその気持ちであれば、友美も負けてはいなかった。
「あしたもう一日、最後の撮影があるんだけど、もう中止にする? このままじゃ先生たちの体力が持たない感じだし……☁」
「「「「いや……やる✊」」」」
この点に関しては、元より四人の思考は一致していた。もともとひとりの考えは、四人全員の考えでもあるのだから。
「男がいったん、やると決めた以上、最後の最後までやり遂げんといけんと✊✊ 実際あたしたち、あの中原カメラマンの熱意に敬服さえしてる気持ちもあるとやけね✌✋」
代表して治代は言った。もちろん速攻で、涼子から突っ込まれたけど。
「お姉ちゃんたち、 やっぱまだ意識の中に男ば残しとんやねぇ✍ まああたしかて、いつかはそげなセリフが出るっち、実は予想しとったんやけどね✐」 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |