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『剣遊記超現代編T』

第四章 美女(?)漫画家のいちばん長い日。

     (14)

 なんとなく怖い気持ちながら、まずは孝江から一番で声をかけてみた。

 

「あのぉ……さっきからまだ一枚も撮ってないんですけど、なにか考えてのことなんですか?」

 

 中原はこれに、面倒臭そうに振り返ってくれた。

 

「ん? なんだ♨ モデルがそんなこと、気にしても仕方ねえだろ♨」

 

 話し方の所々に、元孝治たち四人は大きなトゲを感じた。

 

「ま、まあ、確かにあたしたちはカメラマンの指示に従うだけですけど、肝心のカメラマンがすっごく悩んでたら、こっちだって気になってしょーがありませんちゃけどぉ……☠」

 

「ならば答えてやる♐」

 

 なおも食い下がる孝江に、中原が渋々の感じで返してきた。

 

「きのうから君たちの水着を何百枚も撮ったんだが、どうも今ひとつ、ノリを感じんのじゃい それもこれも全部、君たちがヌードを承諾せんのが原因だと、おれにははっきりわかっておる!

 

「「「「うわっち!」」」」

 

 孝江を先頭にして、元孝治たち四人がそろって、砂の上で一メートル飛び上がった。

 

(この人、まだあきらめとらんかったっちゃね!)

 

 口には出さず、治代は叫んだ。


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