『剣遊記T』 第七章 ひとつの冒険が終わって、また……。 (6) キャラバン隊護衛の仕事は、五日間で終了。孝治たちが未来亭を出発して、全体で二週間ほどの日々だった。
「よっこらせっと☖☗」
未来亭の正面出入り口はケンタウロスである帆柱にとって、少々狭き門といえた。それでもなんとか四人そろって(涼子も含めて)、店内の酒場に足を踏み入れた。
「あっ! おっ帰りなっさぁーーい♡♡」
店に入るとたちまち――であった。登志子を始め給仕係の女の子たちが、一斉に孝治たちの前に集まってきた。
「帆柱さん、お帰りなさぁーーい♡♡ 今回は帰ってすぐ、店長から言われて再出発やったけ、大変やったですねぇ♡♡」
「孝治くん……やなか、孝治ちゃんもお帰りなさいね♡」
「どげんにゃったね? 初めての女ん子での冒険仕事にゃんは♡」
登志子も桂も朋子も、まさに興味しんしんの塊。孝治は旅の疲れが、どっとぶり返す思いになった。
「ちょ、ちょっと! おれたちゃもうヘトヘトなんやけ、もうちっと、そこんとこ気ぃつかってほしかっちゃねぇ☁」
孝治は集まってくる給仕係たちを、右へ左へとかき分けた。 (C)2010 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |