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『剣遊記 番外編X』

第五章 戦い終わって日が暮れて。

     (6)

「行っちゃったのぉ……✈」

 

 静香がポツリとささやいた。裕志はそんな彼女に、同じような感じで、ポツリと応じて返すだけ。

 

「うん……☹」

 

 それからやや前向き気分に気持ちを切り替え、静香にささやき直した。

 

「でもぉ……ぼくも静香ちゃんもこれからの人生は長いんやけ、またいつかどっかで、バルキムと再会できるっちぼくは思うっちゃよ☺ たぶん絶対、バルキムんほうが人間よかずっと長生きできるっち思うっちゃけ、出会いのチャンスはいつでもあるっちゃね☆」

 

「そうだんべぇ!」

 

 ここで何気なく始まった、未来志向な話。これにてやや消沈気味だったふたり(裕志と静香)の間が、再び元の元気を取り戻した。

 

「またいつか絶対、バルキムと会えるって、あたしも思うんだんべぇ☀ こうなったらあたしももっと元気さ出して、また進一さぁおいたせんで追っ駆けるんだがねぇ☺☻」

 

「そ、そうっちゃね……☠」

 

 これがまた、魚町先輩の災難っちゃねぇ〜〜と、裕志は思わずの苦笑いを、にこやか気分で顔の表面に浮かべているつもりでいた。

 

 そのときだった。ガタンッと海岸の西側の外れに建っている木造の掘っ建て小屋の中から、なにやら不気味極まる怪音が響いてきた。


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