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『剣遊記 番外編X』

第五章 戦い終わって日が暮れて。

     (1)

「て、手ぇ放さんかぁーーい! 我れを誰と心得とんのやぁ! 恐れ多きも先の魔術師業界でその名も知れた世紀の大魔術師、尾田岩様なんやでぇーーっ!」

 

 ふたりの衛兵から両脇をガッシリと固められ、詰め所へ連行されながらも、無駄な抵抗を続ける自称大魔術師。その醜態ぶりは、まさに目を覆わんばかりの無様さ――と言うほどでもなかった。

 

 むしろこれはこれでけっこう楽しく、また実におもしろい見せ物になっていた。なにしろ詰め所の周りには、物好きな関西人が、黒山のごとく集まっているので。

 

 尾田岩は自分の配下であった大怪獣――ガストロキングがバルキムによって爆砕されたとき、その肩に自分の身を置いておきながらも、なんと驚いた話。

 

 要するに生きていた。

 

 それも全身にかすり傷ひとつなし。黒衣と髪の毛(もともと薄かったけど)が少々コゲて、相変わらずのアフロ状態になっている程度で済んでいた(つまり相変わらずの、ひとりドリフ状態――って、なんか全体的に矛盾してる表現だよなぁ☻)。

 

 もちろん尾田岩の悪事すべてが天下白日の元に曝され、今はこうして、逮捕監禁の憂き目となったわけ。

 

「い、陰謀やぁ! 謀略やぁ! これはみんな、我れを陥れようとしよう魔術師協会の差し金なんやぁーーっ!♨」


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