『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (4) 「孝治、ちょっと横に寝れ☻」
「うわっち? どしたの?」
「?」
突然である和志の言葉に、孝治はまるで訳がわからない――と言った感じ。もちおれもだ。だけど和志のサングラス😎の奥で光る三白眼は、まさに大真面目そのもの。
「おまえの背中に日焼け止めのクリーム塗ってやるから、そこのマットの上にうつ伏せになれ、って言ってんだよ☻☛」
そう言って、和志が自分の手持ちバッグの中を両手でまさぐって、一本の新品日焼け止めクリームの瓶を取り出した。どうやらこいつはこいつで、きのうの内にどこかで、日焼け止めのクリームを買っていたようだ。
おれはフフンと苦笑してやった。
「ははぁ〜〜ん、そういうことか☻」
このとき和志は、おれの鼻で笑う態度には突っ込まなかった。たぶんこのサングラス馬鹿は、おのれの欲望を満たすため、おれの存在すら眼中にないのだろう。スケベ野郎の視野はせまい――と言った感じか。
ところが孝治の対応ときたら、やはり世間一般の反応の仕方からは、ややかけ離れたものでいた。
「ああ、和志もクリーム塗ってほしいんだね☺♡ じゃあ和志、横になって⛑ ぼくが先に塗ったげるから♡♥」
「あれっ? こ、これはそのぉ……♋」
「ぷぷっ☀☆」
この孝治の対応は、和志にとっても予想外だったみたい。おれは陰で、思いっきりにぷっと噴き出した。とにかく和志のほうは、これまた逆の意味で、思いっきりの困惑丸出し。それでもこいつの頭の中では、きっと次のような光景が、素早く浮かんだに違いない。スケベ人間の考えることなど、一般人であるおれだって、簡単に見抜ける程度のものだから。
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