『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (3) とにかくヤローどもの感嘆の仕方は、まさに常軌を逸するほどの力の入りよう。そんなおれたちを前にして、孝治が恥ずかしそうに言ってくれた。
「……言われたとおり、初めてビキニっての着てみたんだけどぉ……似合ってる?」
顔をポッと赤くしてモジモジしているスタイルが、これまたおれを含むヤローどもの『守ってあげたい⚠⛑⛔』本能を、大いに刺激しまくった。
「い、いや、いい! 絶対いい!」
「偏差値が理由で男ばっかの工業高校に入った時点で、おれは灰色の青春を覚悟しとったっちゅうのに、なんちゅう神のご加護☀ おれは宗教を信じてもいい!」
正男と弘路が、本気の涙を流していた。
「こ、こりゃほんまもんやで! 孝治、将来芸能界に進出するときは、わいに全部任せてや✌ わいがしっかりマネージャーやったるさかいに✋✊」
さらに光一郎が、これまた危ない誘いをかけていた。これはまあ置いて、このような大感激を知ってか知らずか(たぶん知らないだろう✄ 天然になり果てているから✐)、孝治が言った。
「それとぉ……実はみんなに頼みがあるんだけどぉ✐」
「なんだ? また改まってからに♋☞」
おれは不思議に思って訊ね返してみた。すると孝治のやつ、大真面目な顔。なんだか実に女性らしく(?)、しおらしい態度をしていた。
「良かったら、ぼくの妹たちに泳ぎを教えてほしいんだけど……ぼくが海に行くって言ったら、どうしてもいっしょに行きたいって言うから、泳ぎが上手になることを条件に、お父さんとお母さんが許可してくれたもんで⛲ なにしろ友美ときたら、中二にもなってカナヅチなもんだから☺☻」
「もう! 悪かったわね!♨」
友美ちゃんがぷくっと、ほっぺたをふくらませた。可愛い!!
「よっしゃ、おれたちがその願い、引き受けようじゃねえか⛴」
これに泳ぎが達者な永二郎が率先して、妹ふたりのコーチ役を買ってでた。
「いいじゃん☆ おれたちも協力してやるぜ✌」
「任せんしゃい✌☻」
続いて裕志や岳純らも、我も我もと前に出た。どうやらこいつらにも、ロリコンの下心が点火されたようだ(さらに表立っては言えないことを言わせてもらえば、こいつら妹たちを先に自分たちに懐かせて、現在長女である孝治の好感を我が物にしようかと考えてるのかも☠)。
と言うことで砂浜にはなぜか、おれと孝治と――そして和志だけが残ったりする。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |