『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (17) けっきょくおれの杞憂で済んだ。こんなむずかしい言葉(杞憂)、ふだんはほとんど使ったことはないのだけど。
「どうもありがとうございましたぁーーっ☆☺ ほんとに可愛らしい美人三姉妹でしたねぇ♡ 続いて最後にご登場されるのは、エントリーナンバー二十番、桃園沙織さんでぇーーっす!」
孝治の出番が終了して、いよいよ本命でありトリを飾る最重要出場者――桃園沙織がステージ上に登場した。
もはや言うまでもないが、例の超マイクロビキニ姿でのご出場であった。
「おおーーっ!」
会場のヤローどもの間から、一斉に驚きの声が舞い上がった。おれも声を上げたひとりだった。なにしろステージ上の彼女は遠くから見れば、細い紐部分がまったく目に写らず、完全にすっぽんぽんで舞台上に立っているとしか思えないからだ。
「え、エントリーナンバー二十番の桃園沙織さんですよねぇ……♋ いや、想像を絶するような大胆極まる水着でのご出場ですなぁ☢」
孝治のときまでは快調に口を鳴らしていたMCも、桃園沙織の超マイクロビキニ姿には、どのように声をかけたら良いものか、完全に怯みきった感じになっていた。これに今や主役気取りとしか思えない桃園沙織が、高らかに笑いながらで答えた。
「ほほほっ☀ 女性が最大限の美を表現するのに、着ている物は最小限の水着が最適なんでございますのよ☆ 皆さま、どうぞこの洗練されたわたしのスタイル、存分に御覧になってくださいませ✌」
今の状況にもはや関係なさそうだが、彼女もお伴のふたり(泰子と浩子)を、ステージ上まで同伴させていた。それどころかむしろ、このふたりのふつうなビキニ姿のほうが、かなり健全に見えたりもして。
しかしその瞳は、どこか冷ややか(遠くで見ても感じる)。お嬢様のあまりにも突飛過ぎる行動ぶりに、実はついて行けていないのかも。
さらに言えば、MCも冷汗たらたらの状態。これも客席から見て、滴{しずく}が光っているのがよくわかった。
「ははっ……そ、そうですね☠☁ まさにおっしゃられるところの、女性の美しさがよく出てると思いますですよ☻♋」
このあとも延々と、桃園沙織の独演会が続いたのだが、時間の無駄的な描写なのでカットする✄
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