『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (14) コンテスト会場には、さまざまな水着の美女たちが集まっていた。その中に入っても孝治は特に浮いているわけでもなく、まったくごくふつうに、彼女たちの中に混じり込んでいた。
その正体を知っている者は、おれたち港南工業高校2年B組の面々と、孝治の妹ふたりだけなのだが、もちろん正直に申告する義務はなし。それどころか参加資格には元男禁止などとは、一文字も書かれていないのだ。
「な、なんか、恥ずかしいなぁ……☁」
顔を赤くしてモジモジしている孝治に、友美ちゃんと涼子ちゃんの妹ふたりが、元気いっぱいで発破をかけていた。
「もう! ここまで来て、なに尻込みしてんのよ☆ 要は当たって砕けろの精神で行くべきよ☻✊」
「お姉ちゃん、がんばってね✌✋」
この涼子ちゃんの応援言葉(お姉ちゃん)がなければ、友美ちゃんの言い方は、完全にこちらが姉としか思えない感じがした。以前にもおれは解説をしたのだが、友美ちゃんと涼子ちゃんにとって孝治はまさに、年上の大きな妹さんといった感じなのであろう。
どうでもよいことだが、この光景を端で見ているこのおれは、なんだかほっぺがゆるむような思いになっていた。自分でもよくわからないんだけど、とにかくこの三人姉妹(?)が、とても可愛く見えて仕方がないみたいだ。
そんなときに、例の桃園沙織さんたちの面々がこちらにやって来た。彼女たちもとっくに、出場手続きを済ませていたようだ。
「まあ、よくぞ逃げずにチャレンジしてきたものですわ☻ そのご勇気、このわたしも称賛させていただきますわね☢☻ それでは正々堂々、ステージの上で勝負ですわよ☛✊」
相も変わらず、超マイクロビキニ姿のまま。実はさっきも、おれたちの前から立ち去る彼女のうしろ姿を拝見させてもらっていたのだが、それは背中とお尻に黒い紐が何本か見えるだけの、ほぼ九十八パーセントの全裸姿としか言いようがないものだった。
この海水浴場だってけっこうな人手があるのに、そんなマッパに近い格好で、彼女は堂々と徘徊しているわけなのだ。いくら自分のスタイルに『超』が付くほどの自信があっても、並みの女性にできる振る舞いでは絶対になかろう。 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |