『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (12) それはそうとして、ほぼ唖然状態になっているおれたちメンバーの中で、唯一和志のみが意気揚々としていた。初めの驚きから、早くも立ち直っているようだ。
「まあ、桃園沙織さんとやら、ここはまあ、そんなに喧嘩腰にならないで、おれたちといっしょに楽しく海のレジャーを満喫しないかね☻♪✌」
出た! 和志得意のナンパ作戦。確かにおれとしても、美少女が増えるに越したことはないのだが。
「お断りですわ!」
和志の申し出は、呆気なく一蹴された。
「浜辺での逆ハーレムを狙っていたこのわたしに、その単なる一員になれとおっしゃるのですか!♨ そのような屈辱に耐える言われなど、このわたしにはございませんわ!」
「じゃあ、どうするの?」
これまた単純に、和志が尋ね返した。すると桃園沙織は(彼女だけ特別に、フルネームで呼ぶことにしよっと♬)サングラス😎野郎から目線を変え、再び孝治に向けて、右手の人差し指を突き出した。
「そこのあなた!」
「うわっち!」
孝治は直立不動のままでいた。
「あなたと勝負ですわ! 今からこの海水浴場で美少女水着コンテストがありますので、そこでどちらが逆ハーレムの中心にふさわしいかを、プロの審査員に選んでいただくことにいたしますわ!」
「みずぎこんてすとぉ?」
孝治の丸い瞳が、これまた見事な点となった。
「コンテストの開催は、このあと三十分後に始まりますわ⚠ もしもこれにあなたが参加する気がないのであれば、そのときはわたしの勝利が確定しますことよ♐ この三十分の間に、参加するか逃げるかを、ごゆっくり考えることですわね☻ おほほほほっ☻」
それだけを言い残して、桃園沙織とやらは両側に控えるふたり(泰子と浩子)を連れ、おれたちの前から立ち去った。
おれは思わず、ポツリとつぶやいた。
「あのふたり……ひと言もセリフが無かったなぁ……☁」 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |