『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (11) 「???」
孝治には、彼女が言っている言葉の意味が、まるでさっぱりのご様子。でもおれには、だいたいの事情が読めてきた。おれは左横にいる岳純相手にささやいた。
「あの超マイクロビキニの彼女、男を逆ナンパでもしようと思ってあんな派手な水着を着てたら、孝治のほうがおれたち十一人に囲まれてるもんだから、単純に嫉妬しちゃったみたいだなぁ☻」
岳純もおれのささやきにうなずいてくれた。
「ああ、そのとおりみたいだぜ☻☺」
それから裕志が、おれと岳純に、こそっとつぶやいてきた。よく見れば、鼻血をティッシュで拭いてるようだが。
「あの顔……おれ知ってるよ☝ 確か、香蘭女子高で今年一番の学園クイーンに選ばれた、桃園沙織{ももぞの さおり}っていう三年生だよ✍ さらに言えば両側にいるのも、右側が永犬丸泰子{えいのまる やすこ}ってのと、左側が大蔵浩子{おおくら ひろこ}っていうんだけどね✍」
「おまえ、妙にくわしいなぁ♋☻」
おれは別の意味で、裕志に感心した。裕志はふふんと、鼻を鳴らした。
「まあな✌ なんと言っても港南に一番近い女子高の香蘭だぜ♐ 日頃からのチェックを欠かさねえわけにはいかねえだろ✌☆」
「とにかく、自慢する価値はあるわけだ✎ それにしても香蘭も、よくあんなビキニ許可してるもんだよなぁ♋」
などと適当に褒めながら疑問もつぶやきつつ、おれは裕志などほっといて、桃園沙織とかいう超マイクロビキニ美少女の左右にいる女子ふたりを、交互に見回してみた。
「孝治の女子用制服の本家ってことか☚ それにしても、ほんとに変な縁だよなぁ☜」
おれはさらにつぶやきを続けた。だけどたぶん、桃園沙織とやらは、孝治の正体を知らないはずであろう。香蘭から港南に制服の支給が孝治のために行なわれた話など、彼女たちとはまったく無関係であるはずだし。
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