『剣遊記 超現代編U』 第三章 真夏の浜辺の逆ハーレム? (10) しかし、おれの『要らぬ苦労☠』は、まだまだ終わりではなかった。孝治もだが。
「ほんと、馬っ鹿な野郎だよなぁ☆☻ あいつ本気で、孝治をナンパしたつもりだったんだぜ✌☻」
逃げたナンパ野郎を、裕志らが笑っていたときだった。いきなりおれたちの背後から、甲高い女性の声が轟いたのだ。
「そこのあなたたちっ!」
「へっ?」
驚いたおれがうしろに振り返ると、そこにはなぜか、三人のビキニ美女がいた。
「うわっぷ!」
思わずであろうけど、弘路が噴き出したのも道理。両側にまるでお伴のようにして立っているふたりは一応ふつうのビキニの範疇なのだが(孝治が着ているのと同程度)、真ん中のひとりは、これが飛び切りに強烈だったからだ。
「なんとまあ! 噂の超マイクロビキニやおまへんか!」
続いて光一郎が叫んだとおり、真ん中の長髪美女(左右を縦のロール巻きにしている)が着ている超マイクロビキニ(色は黒)とやらは、布面積が異常なほどに少なく、大事な部分を隠す義務を完全に放棄している、ほとんど全裸寸前の水着だったのだ。
「うわっ! このオレでさえ初めて見た!」
あの和志が魂消た顔をしているのだから、これはまさにほんまものだ。とにかくその超マイクロビキニ美少女が言った。年の感じはおれたちと同じぐらいに見えるが、明らかにそのおれたちへと向けて。
「そこにお集りの皆さん☛ なんか変ではございませんこと☞」
「へん?」
このときのおれの目はきっと、見事な点になっていたことだろう。とにかく彼女は、勝手に吠え出した。
「こうして見れば女子が三人なのに、それに対して男子の皆さんが十一人もおりますなんて、世間の常識から少々外れているんじゃございませんこと☠♨ そこのあなた!」
超マイクロビキニ美少女がビシッと右手で指差した先には、誰でも予測ができるとおり、孝治がいた。
「うわっち! は、はい!」
いきなり指を差されてビックリしたであろう孝治が、一瞬にして直立不動の姿勢となった。そんな完全にビビり上がった孝治に構わず、彼女の猛威は止まらなかった。
「世間の常識から考えてみましても、その男女比率は非常に非常識ですわ☠♨ このわたしがこのような素晴らしい水着でいるのにひとりも相手がいないのに対し、これは大いに不公平と言うものですわよ✄✄」 (C)2018 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |