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『剣遊記11』

第二章 グリフォン救済計画。

     (11)

「では出発するとしよう✈ お嬢さん方は二台目の車に乗ってくれ☞」

 

「はぁ〜〜い♡」

 

 いつまでも愚図愚図と駄々をこねても仕方がない。ここは折尾から言われるまま、グリフォン見物をあきらめた沙織たち一行が、三台並んでいる牛車の二台目に、静かな態度で乗り込んだ。

 

 もちろん美奈子たち三人もいっしょ。ユニコーンとのハーフロバであるトラは、牛車にロープで繋がれてついてくる格好なので、今回は千秋が引いて歩く必要はなかった。

 

「これがほんなこつ、呉越同舟ってやつっちゃね♠ まっ、特に問題はなかろうや♪」

 

 牛車に乗り込む面々を眺める孝治自身は、徒歩でキャラバン隊に同行するつもり。そんな孝治に、涼子が再び尋ね掛けてきた。

 

『なして孝治と友美ちゃんは牛車に乗らんとね?』

 

 もっともな質問であった。実は友美も孝治にならって、歩いて同行することにしていた。このふたり(孝治と友美)がそろって徒歩を貫こうとしている姿勢が、涼子には理解ができない気持ちでいるらしかった。

 

 これに孝治と友美は答えてやった。

 

「そりゃおれたちは護衛役やけんね☀ やけん御婦人方とごいっしょするわけにはいかんちゃよ♠♣」

 

「一応わたしもね♡ 長旅で歩くことくらい、昔っから慣れとうことやけ♡」

 

 それでも涼子は、完全に納得とはいかないようだ。

 

『そこまでふたりが遠慮せんでもよかとにねぇ♐ あたし、孝治んことやけ女ん子の特権ば使って、てっきり楽ばするもんっち思いよったとばい♥』

 

「やけん、それだけはずえったいにしたくないっちゅうと!」

 

『あはっ♡ そうやったと♡ ごめん♥』

 

 けっきょく、またしても周りからは見えない涼子を追い駆け回す構図となった孝治。そのため周囲からはまた、要らぬ心配――特に折尾からそれらしい豹顔で見られる始末となったしだい。

 

「あのアマゾン{女戦士}の女……大丈夫か?」

 

 その右隣りで帆柱も首を傾げていた。

 

「俺も時々……そう思うっちゃよ☁」


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