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『剣遊記13』

第五章 「ごめんなさい(すんまへん)」のあとで。

     (9)

 それはまあ置いて、当然であるが衛兵隊の船には、大門の部下たちも大勢乗っていた。

 

「孝治ぃーーっ! こりゃまた色気たっぷりの大サービスっちゃねぇ!」

 

「うわっち!」

 

 船からいきなり、ひとりの衛兵が飛び出した。スケベ衛兵で名高い孝治の同期、井堀弘路{いぼり ひろみち}であった。

 

「真っ赤なビキニスタイルでおれたちばお迎えなんち、なんちゅう心の広さっちゃねぇ☀ おれはもう猛烈に感激しちょうばぁーーい♡♡♡」

 

「うわっち! おまえのそんセクハラ脳かて、いっちょん治っちょらんのやねぇ☠♨」

 

 孝治は抱きついてきた井堀に、右足顔面飛び蹴りをボゴッと喰らわしてやった。

 

「あちゃあーーっ!」

 

 ドボーーンと井堀が、ボートから海面に落下した。そんなドタバタを先輩衛兵である砂津岳純{すなつ たけずみ}が、『やれやれ😅』の顔で眺めていた。

 

「おまえらいっちょも進歩ばしちょらんちゃねぇ☹ 孝治もまたそげな格好ばして、おれのトラウマば再発させんでほしかばい

 

「こ、これはやねぇ……☁ はははっ……☻☻」

 

 孝治も砂津の苦言には、これ以上はないほどの苦笑いで応えるしかなかった。


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