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『剣遊記13』

第五章 「ごめんなさい(すんまへん)」のあとで。

     (3)

 これもまたいつものごとく、美奈子は恥ずかしがる風でもなし。孝治や友美たちを前にして、堂々と言ってくれた。

 

 一番大切な部分(?)を隠そうともせず、ボート上でも見事なる仁王立ちを披露して。

 

「まあ、これはとっておきの魔術を使った結果でおますんやわぁ☻ ちと力を入れ過ぎてもうたみたいで、着ていた服まで吹っ飛んで、さいならしてもうたみたいどすえ

 

「またそげなこつ言うて、おれにヌードば見せびらかしてからにぃ☠

 

 孝治としては完全に、美奈子が滅茶苦茶な意地悪をしているとしか思えなかった。毎度毎度のワンパターンながらで。

 

 孝治はこの際だと考え、日頃からの疑問を美奈子にぶつけてみた。

 

「ったく、今回は何回、美奈子さんはおれに裸ば見せて喜びよんねぇ おれの限界も、もう間近になっとるっちゃよ なして美奈子さんは、そげんおれに裸ば見せて平気なんね♨?

 

 成果はあまり期待していないが、これこそ孝治の本心である。ところが美奈子は、孝治にシレッと答えてくれた。いつもの澄まし顔を、一ミリたりとも変えないままで。

 

「そないなこと、気にすることやおまへんで

 

「でたん気にすると♨」

 

「孝治はんもうちも、おんなし女子{おなご}はんやおまへんか♡ そやさかいおんなし女子はん同士、隠し事することなんか、ちいともあらへんのどすえ☀」

 

「それが丸っきり納得でけんとやけどねぇ☢」

 

(そもそも男やったおれば女にしてくれたと、美奈子さんやなかね☠)

 

 相変わらず訳のわからない、さらに根本的原因を完全に無視している、美奈子の返答であった。これはやはり、期待をしなかったほうが、大いに賢明な態度でもあったのかも。

 

 ところがここで、美奈子が軽い逆襲に出てくれた。

 

「そない言いはる孝治はんかて、あんまし人様のことは言えましぇんどすえ♐」


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