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『剣遊記W』

第四章 激! ワイバーン捕獲死闘編。

     (2)

「さて、ここで質問や✍ ひと口に罠を張る言うても、どんな方法が有効や思うか?」

 

 作戦会議(?)の席上、沢見が神妙な面持ちで、居並ぶ全員の顔を見回した。

 

「言うとくけど、ワイバーンば生きたまんまで北九州まで持って帰らんと、意味がないとやけね✐✄」

 

 ここで荒生田が偉そうぶる。このサングラス野郎はとにかく、ワイバーンの生け捕りにこだわっていた。

 

(相変わらず無茶ばっか言いようっちゃねぇ……☠)

 

 孝治としては、稼ぎに多少の減額があってもけっこう。今回の冒険が、とにかく無事に終わってほしいと、それだけを切実に願っていた。しかしそれでは、荒生田の虚栄心と自己顕示欲が、絶対に満足しないだろう。長年の付き合いで、先輩の性格も本性も知り尽くしている孝治であるからして。

 

 そんな本音を胸の中へと仕舞い込み、孝治は右手を挙げた。

 

「はい! 提案があります!」

 

 すぐに問題人物である荒生田が、ご指名をしてくれた。

 

「孝治、言うてみい☛」

 

 孝治はこの際だと思い、自分の考えをぶち撒けてやった。

 

「はい☆ 先ほども見ましたとおり、ワイバーンの数はあまりにも多くて、しかも一頭一頭が凶暴かつ強力であります☢ やけんここはひとつ、生きてさえいればよかですから、病気持ちか老衰気味で弱っとう個体ば狙うべきやと思います✍」

 

 このとき孝治の脳裏には、たった今湖で拝見したばかりの、恐るべき光景が浮かんでいた。

 

 水辺にワイバーンが一頭。優雅に舞い降りた――かと思えば、続いてあとからあとから大群が押し寄せ、あっと言う間に湖の周りを、無数のワイバーンが埋め尽くしてしまった状態を。

 

『孝治ったらぁ、また卑怯なこつ言うてからにぃ☠』

 

「しゃあしぃったい♨」

 

 うしろから涼子が茶々を入れてくれた。だけど孝治は、軽くいなす程度で応じてやった。それよりも幽霊の姿が見えないであろうサングラス戦士と大阪商人のふたりは、そろって同じ姿勢で腕を組み、しばし考える素振り。最初に口を開いたほうは、沢見であった。

 

「一理ありやな★ 何事も楽に済んだら、それに越したことはあらへん☺ 孝治はんの考えで行こうやないか✌」

 

 しかしここで、荒生田もひと言。

 

「……やけどなぁ……弱った相手ば痛めつけるなんち、誇り高き戦士の振る舞いやなかばい☹☹」

 

「ほな、あんさん☠ 元気バリバリのワイバーン捕まえまっか?」

 

「孝治に賛成するったい☀」

 

 沢見の(恫喝的)セリフで、荒生田も納得(?)をしたようだ。

 

 とにかくこれにて、話し合いは満場一致(?)で可決。ちなみに荒生田の意見に対し、孝治は異議があり過ぎの思いでいた。

 

(ほんとは弱い者いじめが大好きなくせしてからにぃ☠☠)


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