『剣遊記W』 第四章 激! ワイバーン捕獲死闘編。 (16) 「ねえ、荒生田先輩と裕志くん、どこ行ったっちゃろっか?」
「あれ? そげん言うたらぁ……どこなんやろ?」
このとき友美に言われ、孝治は今になって気がついた。
先輩戦士と同期魔術師の姿が、どこにも見当たらないことに。
これもワイバーンに気を取られ過ぎて、完ぺきに忘れていた話であるが。
『あそこっちゃよ! 噂ばすれば影っちゃねぇ〜〜☞ ふたりが戻って来ようばい☞☞』
これまたこのとき、まさに涼子の格言どおり。背中に裕志を背負った荒生田が、森からひょっこりと顔を出したのだ。
孝治は早速、文句を垂れてやった。
「先輩っ! やっとワイバーンば捕まえたっちゅうのに、肝心なときになんしよったとですかぁ!」
これにサングラス😎の先輩戦士は、相変わらずの戯言{たわごと}で応えてくれた。
「いやあ、悪かったっちゃねぇ☀ なんせ裕志んやつがどげんしても山ば降りるっち聞かんもんやけ、一発しばいて、やっとオレの説得に応じさせたと☆ それよかワイバーンば捕まえたそうやねぇ♡ やけん手柄ば言うときは、オレん名も忘れんといてや☀☆」
「…………☠☢」
孝治はドッと、大疲れの気分になった。
なお、忘れていたけどこの間ずっと、孝治は白が基調である村娘の格好のまんま。 (C)2011 Tetsuo Matsumoto, All Rights Reserved. |