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『剣遊記 番外編Y』

第三章 美女が液体人間。

     (18)

 しかし、律子の怒りが頂点に達しても、なお――だった。

 

「あ〜〜ん☂!」

 

 秋恵の上着がバリッと完全に破かれ、続いて下のズボンにまで魔手が伸びていた。

 

「けへへっ☻ こんお嬢ちゃん、けっこう上玉ばいねぇ♪」

 

 これにてさらに、獣性が刺激されたらしい。炉箆裸が口から大量の涎をこぼしたときだった。

 

「ん? こん女……⛑」

 

 いつの間にか、集団暴行に参加をしている親分の杭巣派が、一番最初に秋恵の異変に気がついたようだ。

 

 全然自慢にもならない話だが。

 

「こ、こん女……骨が無えのけ!」

 

「えっ?」

 

「旦那ぁ、なんば言いよっとですかぁ?」

 

 いきなりの妙なセリフで、野郎どもが一時的ではあろうが、秋恵を攻める手を止めた。それから自分の親分――と言うか雇い主の旦那に注目。旦那の顔は、このとき変な感じで青ざめていた。

 

「こ、こん女子{おなご}……どこば触ったかてブニョブニョしちょって、固てえとこがいっちょん無か……♋」

 

「はあ、嘘っちゃろぉ……?」

 

 杭巣派がいったいなにを言っているのか。今の時点において全然理解できていない者は、彼らだけではなかった。両腕と肩を抑えられている格好の律子も、思わず杭巣派の慄き言葉に耳を傾けていた。

 

「……骨が無かっちゅうとねぇ……⚠⛐ これが前に言うとったこつぅ?」

 

 律子の疑問に答えてくれた者は、当の秋恵であった。

 

「はい、そがんです☆」

 

 男どもが一時的だが、硬直をしてくれたおかげだろう。その隙になんとか、秋恵はヤローどもの魔手から逃れられていた。

 

 着ている服は、ボロボロにされている有様。だけど一番大切な箇所だけは、まだ無事が保たれていた(想像しないように⛔)。

 

 その秋恵が言った。

 

「もうこがんなったら、これしか逃げる方法がぞーたんのごつなかですけ、最後の手段ばばたぐうる気で使こうたとですけどぉ……先輩! こがんなったらあたしが前に言うとった、あたしがホムンクルスであることの証明ばしてあげますけ! こいつら相手に、ちょっとあったらか(長崎弁で『もったいない』)な気もするとですけどね☹」


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